スピリチュアル：spiritual ”精神的な””霊的な” の意味。

　　　　　　　　こちらでは スピリチュアルな世界は、心・魂の世界 程度の意味です。

　初めてスピリチュアルな世界を知ったのは、高校生の時。”ヒプノセラピーで前世体験”という内容の本だった。（タイ
トルも著者名も失念してしまいましたが）

　元々不思議世界系に興味があったので読んでみたが、人が抱える様々な悩みの根源は前世の辛い体験等によ
る という解釈で展開していて、なかなか面白かった。

　例えば。

　生まれつき喉が悪く、受診してもこれといった病因も見当たらず治療もあまり効き目がない という人の前世を催眠
で辿ってみたら、喉に傷を負って亡くなっていた過去生があった。

　訳もなく水が怖くて堪らない。溺死した過去生を経験していた。

　過去生で経験した苦しみ・痛みが消化しきれずに残り、現在に影響を及ぼしている というわけだ。

　何の理由でこうなっているのか判らないと人間 気持ちが落ち着かないものだが、そこに何らかの原因を見出せれ
ば、〜は こうだったんだ と納得がいく。

　わだかまりが薄れ心の整理がつけば、じゃあ 今度はこうしよう！と前向きな気持ちになりやすい。訳の判らない障
害に捉われず、一歩前へ踏み出せる。

　ヒプノセラピーは痛み・苦しみの根源を探る為の手段。こう考えてみて、成る程と頷いた。

　本文では、前世の出来事は心身以外にも影響を与える と書かれてもいた。

　例えば。

　周りの人から辛く当たられているけど、特に理由は思い当たらない。何故こんな仕打ちを受けるのか催眠で辿って
みたら、他人の気持ちを考えない冷酷な人だった過去生があった。

　だから現在ではその分苦労する事になった。

　立場を変えて色々な経験をし、転生を繰り返して学んでゆく。

　これも成る程、世の中上手くできてるな〜と感心した。

　しかし……。

　どんな事にもこういった因果関係があり、全ては宿縁・運命に導かれて起きた出来事。理不尽な経験も前世の罪の
償い 云々 (本文とは異なりますが、大体こんな意味でした)

　という下りを読んで、それは違うんじゃないかな？と思った。全てが定められた事・運命……何の落ち度もない人が
身勝手な犯罪被害者になるのも 戦争で子供達が傷つくのも、全部”運命”で片付けてしまって良いのか？

　 自分や大事な人が何の落ち度も無いのに傷つき・命を落としたとしたら、そういう運命だと受け入れる事ができる
だろうか？前世からの決め事だから、仕方ないと諦めるだろうか？

　……違う。世の中、因果・前世が根源 で納得できる事も多いだろうが、それが全てじゃない。

　私は惹かれ始めた本を閉じて書棚に戻し、再びそれを手にする事はなかった。

　内容全てに共感できなかったものの、この本を読んで 苦痛の根源を探して癒す”前世療法”を知ったのだった。